棟梁のブログ

平津新町の家 1

2020.02.19

自社で高気密高断熱住宅を建築させて頂いたのでブログで工事内容を大工目線で紹介していきたいと思います。(約1年前)

単なる説明書きの様なものです。面白みなしw

 

 

今回は基礎(内)断熱なので基礎が出来上がってからの土台敷きから竣工、引越し後の様子までを紹介します!

まずは土台敷きから

土台の木材と基礎との隙間を埋めるために日本住環境さんの天端リストを敷いてから土台を納めます。


この写真でわかりますか?外周部と中の基礎パッキンの種類が違うんです。

中に敷いている基礎パッキンはJOTOさんのキソパッキンロングです。

僕の住んでいる地域ではほとんどの新築で使用されているのではないでしょうか。このキソパッキンロング、様々な種類がありますがここで使用したのは通気ができるタイプ。

IMG_4493(写真はネットから引用)

無数のスリットが入っていてそこを風が通り抜ける構造になっています。

なぜ外と中で使うものを分けるか、それは今回の暖房の仕様が『床下エアコン』だからです。最近では聞いた事がある方は増えているんじゃないでしょうか。

一般的な壁掛けエアコン(今回は8畳用)を床下に向けて温風を吹き込みます。1Fの床を暖めて家全体を暖めます。

(写真はネットから引用)

この温風がエアコンから離れた場所まで届きやすいように中だけ通気パッキンを使用しているという事ですね。

ただ、そこで問題となるのはこの2つの部材、厚みが違うんです。

土台は120角で中も外周りも同じ寸法です。このままだと約18ミリの段差ができてしまいます。

そこでこうしました。


中の土台だけ全て背を18ミリ削りました。

よく基礎の天端の高さを変えている写真は見るのですが、それをおそらく初めての事であろう基礎屋さんにやってもらうべきか悩みました。

 

剛床ということもあり精度の確保がしやすい、木材を削るという方法にしました。

 

これを思い付いた当初はなんか凄いことを閃いたかのように思ってましたが、笑
今思うとすごく単純で当たり前のことですね。w

さて、土台は敷けました。

次に段取りしておくものは、屋根の垂木組みです。二重屋根の二重目のケラバ部分。

二重屋根にする主な理由は、外壁側の『気密』がとりやすいから。というよりこの時点で屋根の構成に決定打はなく、いつも仕事をさせて頂いている設計士さんの納まりと普段から大工が慣れている工法を組み合わせた感じ。

それにより『断熱』『気密』がうまく納まり、手間もかかりにくいという発想。

実際は改善点はいくつかありましたけどね。

あとは、屋根が薄く見えるので好きなデザインです。屋根の通気経路もしっかりとりながら組みます。

そして建前をして一重目の屋根の上に組み上がった二重目の屋根を置いて留めていきます。

2日間の建前は無事終わり、これから中の作業にとりかかります。

とりあえずやる事といえば、『断熱』『気密』。

高性能にするためにはこの『断熱』と『気密』をきっちりこなす事が重要になってきます。

どちらも完成したら見えなくなる部分です。それ故完成したらやり直しができない部分でもあります。

だから時間をかけて細部までチェックをしながら工事を進めていきます。

まずは床合板を敷く前にメバリーロングを先貼りしていきます。

次に基礎の内側に断熱材を敷いていきます。

床下の外周部だけ断熱材を入れようと思っていたのですが余ってる断熱材の量を見たら、(コレ全部いれれるんじゃねw)と思い

床下の基礎全面に断熱材を敷き詰めましたw

コレにより床下暖房の基礎への蓄熱は減り、暖房が早く床下を暖めてくれるようになったんじゃないかと思います。

断熱材を入れることに関しては住宅に携わる者ならなんら珍しい事でもないと思いますが、

『気密』工事となると100軒建てたベテラン大工さんでも、1軒『気密』工事をした大工の方が遥かに数値的にはよくなるでしょうね。

それだけ意識してやらないと高い気密性は確保できないです。

この光が漏れてるとこ

こんなとこや

こんなとこまでw

こういう隙間は気密性だけを考えるとコーキング、断熱性も欲しい場合は発砲ウレタン、白蟻が気になる箇所は防蟻発泡ウレタンと使い分けています。

外から中へ熱を伝える部分(ボルトなど)も発泡ウレタンで塞いでいきます。

そうこうしてるうちに屋根が葺き上がりました。

ガルバリウム鋼板の横葺きです。個人的には今一番好きな屋根です。

外壁側の気密防水シートも貼っていきます。

まず、耐力面材(ハイベストウッド)の上に3mのタイベックシートを貼ります。

その後窓を入れ、貫通部のテープ処理もします。

窓はykk apのAPW330(樹脂サッシ)を入れてます。

メンテナンスしやすいようにと日本のメーカーの窓にしました。

窓が入ったらその上にフェノバボードア30を貼ります。

そしてもう一層1mのタイベックシートを貼って、通気胴縁で抑えます。

これで外の『断熱』『気密』防水処理はできました。

この胴縁の上にサイディングを貼って、塗り壁を塗ったら外壁完成です。

 

次は中の『断熱』『気密』工事です。

つづく